膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)/膵癌

病気の詳細解説に関しては、こちら(膵のう胞性腫瘍 | 国立がん研究センター 東病院 (ncc.go.jp))のページがお勧めですのでご参照ください。

 

 

Dr.Yusukeの『治したい!だから早期膵癌のうちに見つけたい!』

 

 IPMNと聞いても、ほとんどの人はピンとこないでしょう。しかし、膵癌と聞けば、皆さんドキッとするのではないでしょうか。

 私は長年消化器外科医として、診療を行ってきましたが、膵癌は消化器外科医の天敵といっても過言ではないでしょう。多くの消化器癌(大腸癌や胃癌など)の治療成績が向上しているのにも関わらず、いまだに成績が上がってこないのが膵癌です。

 

 私は膵癌で亡くなる人を少しでも減らすことができればと考え、膵臓の手術を行ってきました。しかし、たとえ手術自体がうまくいっても、再発してくることが多いのが膵癌の現状であります。その理由として、何かしらの症状で見つかる膵癌の多くの場合、癌が進行しているためだと考えています。

そもそも膵癌で亡くなる人を減らすには膵癌になる人を減らすことが最も望ましいです。しかし、実際には生活習慣の改善をしたとしても膵癌になる人の数を大きく減らすことは難しいと思います。

 次に大事なことはやはり早期発見です。これが今のところ膵癌で亡くなる人を減らす一番の方法だと私は信じています。

 

 では早期発見をどのようにすれば良いのか?

 

 膵癌をできるだけ早期発見することは以前から大きなテーマであり、今までにもいくつかの地域や病院で研究が行われています。

 

 その研究の中で膵癌を早期発見する方法として、膵癌になりやすいリスクのある人を拾い上げ、そのような集団を密に精査していくことが有効であることがわかってきました。

 

 IPMNの話から少し脱線しましたが、膵癌になりやすいリスクには色々なものがあります。その一つが今回のテーマの疾患であるIPMNになります。

 IPMN自体は良性腫瘍ですが、IPMNを持つ人はIPMNを持たない人に比べ膵癌になる確率が上がることがわかっています。さらにIPMNの大きさや形状などによってはすでに癌があるかもしれないとか、癌化のリスクが高いなどの予測をすることができます。

 つまりIPMNを持つ人は膵癌を早期発見するために定期的な検査を行うことが大事になってきます。

 

 当クリニックでは、IPMNを含め、まず膵癌になるようなリスクがないか、しっかりと確認します。その上で、リスクが高いような方を拾い上げ、定期的なチェックを行っています。さらにここでは触れていませんが膵癌のリスクが高いと判断した場合、さらなる精査目的に超音波内視鏡(EUS)を行っていただける医師との連携も密に取っております。

 さらに手術が必要となった場合にも、東大をはじめとする高レベルの外科チームにしっかりと橋渡しを行います。

 

 もし、IPMNと指摘されたことがある人や、膵癌が怖いので一度リスクがないか調べたいという希望される方がいましたら、いつでもご相談ください。