鼻から接種!日本初の新しいインフルエンザワクチン「フルミスト」登場
注射が苦手な方やお子さんに朗報です。2023年、日本で初めて針を使わないインフルエンザワクチン「フルミスト」が承認されました。今回はこのフルミストについて、その特徴や効果、従来の注射との違い、そして注意点までをわかりやすく解説します。
フルミストってどんなワクチン?
フルミストは鼻に噴霧して接種するインフルエンザワクチンです。注射ではなく鼻にスプレーするだけなので、痛みもなくあっという間に接種が完了します。特に注射嫌いの子どもには嬉しい方法ですね。
このワクチンは「生ワクチン」と呼ばれる種類で、弱めた生きたウイルスを使い、鼻の粘膜で免疫をつけます。そのため、自然に感染したときに近い粘膜免疫が働きやすく、侵入の段階でウイルスを防ぐ効果も期待できます。
また、針を刺さないため、接種される人も医療者側も負担が軽くなり、注射後の腫れや痛みといった反応もありません。
対象は2歳から19歳まで。日本ではこの年代に限って使用が認められており、未就学児から高校生までが「鼻からのワクチン」の恩恵を受けられます。
効果は注射と同じ?
「鼻にシュッとするだけで効くの?」と思うかもしれません。ですが、これまでの研究では、フルミストと従来の注射ワクチンでインフルエンザの予防効果に大きな差はないことがわかっています。
むしろ年少の子どもでは、鼻の免疫がしっかり働くため、注射よりも有効だったという報告もあります。反対に高齢者では効果が十分でなかったため、日本では子どもと若年者のみに対象が絞られているのです。
つまり「注射だから効く」「鼻だから効かない」ということはなく、どちらも同じようにインフルエンザを予防できると考えられます。
接種回数と利便性
従来の不活化ワクチンは、13歳未満の子どもでは通常2回の接種が必要でした。数週間空けて2度クリニックに行く必要があるため、親子ともに手間がかかります。
一方、フルミストは基本的に1回で完了。左右の鼻にスプレーするだけで済みます。針を刺さないので泣いたり暴れたりすることも少なく、1回の受診で終えられるのは大きな利点です。
さらに、他のワクチンと同時に接種することも可能で、スケジュールの調整がしやすいのもポイントです。
生ワクチンならではの注意点
フルミストは生ワクチンであるため、いくつかの注意点があります。
最大の特徴は「水平伝播」というリスク。接種後しばらくは鼻や喉からワクチン由来の弱いウイルスが排出されることがあり、ごくまれに周囲の人にうつる可能性があります。健康な人では問題になりませんが、免疫が極端に低下している人にとってはリスクになることがあります。
そのため、接種後1~2週間は、重い免疫不全の方との密な接触はできるだけ避けることが推奨されています。
また、フルミストを接種できない人もいます。
- 重度の免疫不全の方、または免疫抑制治療中の方
- 妊婦さん
- 重症の喘息を持つお子さん
- 特殊な基礎疾患を持つ方(主治医と相談が必要)
こうした方々には従来の注射型ワクチンが勧められます。
まとめ
フルミストは「痛くないインフルエンザワクチン」として、日本でも新たに使えるようになった注目の方法です。対象は2~18歳と限られますが、効果は注射と同じで、しかも1回で済むという手軽さがあります。
一方で生ワクチンならではの注意点もあり、免疫が弱い人や妊婦さんなどは従来の注射を選ぶ必要があります。
それでも、注射が苦手なお子さんや忙しいご家庭にとっては、とてもありがたい選択肢。ぜひこの冬のインフルエンザ対策に、かかりつけ医と相談のうえ検討してみてください。

